安藤義茂 百子と

080920

百子にとって、安藤は世の中で唯一の人で喜んで命をも投げ出すことの出来る相手だった。
命を投げ出す覚悟であればいかなる苦難でも乗り越えられるだろうと思い、申し込みを受けることになるが、それでも、一家の生計の全てを自分に任せ、絵を描くことだけに専念する、という条件を出し、安藤もそれを受け入れやっと結婚が決まる。

百子は昼間は教師として勤め、家へ帰れば子どもの世話をし熱心に絵を描き、とにかくよく働いた。
安藤も朝から晩まで絵を描き続けるが、百子への絵の指導もより厳しいものになった。
このころ家に住み着いた野良猫を可愛がり猫の絵ばかり描き、帝展にも発表し猫の安藤で有名になる。
第三回文展に紫陽花の咲く庭で数匹の猫が遊ぶ80号大の絵を「閑庭」と題し出品し特選候補に上がる。