- 解ける風景 - 中西 良

2017年5月25日(木)~6月4日(日)
AM10:00-PM7:00 ※5月31日(水)定休日
作家在廊日 25日(木) 26日(金) 27日(土)
nakanishi

左より 雨色 陽射の花 処暑 翳り 各72.7×72.7cm

 
記憶の中にあるものを描く事と目の前にあるものを描く事の違いは何か。捉えようとしても形が確と見えない焦燥、観察によって説明しようとすることの束縛。実際にはどちらの場合にも同時に直面する課題で、大きな違いは無いともいえる。
先ず、描き始めたら眼前に現れるのは画面の上に広がる行為の痕跡であること。色彩・筆跡が重なり合い、ある種の存在感を持ったものに変わっていく。そして、こう描きたいと思った刹那、記憶も眼前の物も空中に解け始めるもので、その解け結びつつある瞬間が奥深く魅力的なのだ。何を描くかではなく、画面の上で起こることに目を凝らし、それにどう拘るかが重要なのだと思う。

中西 良

 
形が現れた瞬間、それは掴み難い痕跡になり、その上に塗りこめられた純度の高い色彩の重奏が、新たに変容した形らしきものを生み出す。
中西さんの筆で繰り返されるキャンパス上のイルージョンは、見るものに不思議な懐かしさと未来への希望を暗示し記憶させるものです。見る度に新鮮なのはその故でしょうか。
ぼくには、彼の作画姿勢とその作品が時代の先端を行くように見えます。
― 解ける風景 ― の世界をぜひ五感で味わってください
ご来廊をお待ち申し上げます。

ギャラリーかわにし 塩出 洽