ある茶碗の物語

これに載っています画家とある箱書一服いただきます

一昔を10年とするなら昔々その昔もひとつ昔に近い頃、画家であった安倍安人は手慰みに焼き物を作っていて、信楽の名品を手本に作った一碗を友人に渡しました。後に安倍安人はその信楽碗を返して欲しいとその友人に頼みましたが思わぬ高値を言われ諦めました。そのエピソードを安倍さんから聞いてその信楽碗を一度見てみたいものだとずっと思っていたのです。
数年前、ひょっこり尋ねて来られた方がなんとあの信楽碗を所持されていたのです。しかし示された値段は手が出ないもので店主も諦めました。が、1年ほど経て再び店主の前に現れたのです。
今年2月に出版された別冊炎芸術「茶器」に掲載されている信楽碗です。そのお箱に安倍安人さんが「画家安倍安人1972年作」と書かれました。
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