寺田至展

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てらだ いたる
1951年西条市生まれ。74年大阪芸術大学美術学科絵画専攻卒業。75年東京藝術大学大学院(絵画組成)聴講生。
主な個展に79年西銀座画廊、80年ギャラリー玉屋、83、85年しろた画廊、91年プランタン銀座、92年柏そごう、93年横浜そごうなど。2014年逝去、享年62歳。

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作品のモチーフは身近な静物や風景。それらがじつに軽やかに描かれています。 
旅先でのイタリア風景などは、20世紀美術史上で重視されるイタリアの画家モランディをほうふつさせます。
東京芸術大学大学院の組成研究室で聴講。油彩、テンペラ、日本画材などの素材に精通しました。その素材を自在に扱う技術と卓抜したデッサン力で描かれた絵には、スキがありません。ストロークごとに自然の空気感や季節の光まで一気に取り込み、飽きることのない懐かしい詩情を感じさせます。
見るものをいつの間にか絵の奥底まで引き込む魅力は、練達のワザに裏付けられた寺田さんの美的センスと深い思慮、そして自由な孤高の精神から生まれたものです。
作家の寺田 至さんは、残念ながら4年前62歳で亡くなられました。お盆に帰省されたおり、時に来廊されましたが、自身の作品については自ら積極的に語ることはありませんでした。今になって悔やまれるのは寺田さんの生前に作品展がかなえられなかったことです。画廊主として不明を恥じ入るばかりです。
本展は、東京湯島「羽黒洞 木村東介」さんで開催後、奥様の由紀子さんのご理解を得て、故郷西条市で開催の運びになりました。
これみよがしの絵画が横溢する現在、時代を超えて必ず生き続けるであろう寺田さんの作品世界をじっくりとご高覧いただきたいと願います。

ギャラリーかわにし 塩出 洽